いや〜久々に1本の抜歯に1時間半かかり苦労しました。
今回は、2年前に上の犬歯の被せ物(昔でいう差し歯)が取れ、その時に歯の根っこにヒビが入っていたため、抜歯を勧めましたが、どうしても抜きたくないとの事で脱離した物をつけ直した方のケースですが…
最近また脱離し来院されました。
2年前のヒビは拡がり、被せ物が元に戻せなくなった事で、ようやく抜歯を決断されました。
今回のケースは以前にも取り上げましたが、ポストと呼ばれる、いわゆる根っこの部分に差している芯棒が長すぎるために起こります。
上の犬歯は根の長さが他の歯に比べ最も長く、寿命的にも一番長い歯であるが故、あるPCサイトでは…
『犬歯を抜く歯医者はダメ歯医者』的な事を書いておりますが、そんなもんケース・バイ・ケースだよ!って思います。
話を戻しますが、今回の犬歯は、咬む時に下の犬歯が上の犬歯を裏側から突き上げるので、大体は上の犬歯の唇側(頬っぺた側)が割れる事がほとんどです。
被せ物が取れた時に、根っこの部分を単体で見るとヒビ程度のものが、実際に機能して下の歯と咬ませた時に、目に見えない部分で、差し込んである芯棒がヒビの入った部分を押し広げています。
この繰り返しでヒビの入った部分に触れている歯茎は炎症を繰り返し、その部分の骨も無くなります。
今回もそうでしたが、時間の経過と共に、歯本体も軟化し、いざ抜歯をしましょうという時にはつかみどころが無く、そりゃもう大変です。
今回の犬歯のケースも、結果として時間もかかり、勿論患者さんご自身も負担がかかり、挙げ句のはて、唇側の骨はほとんど無くなり…いい事ないです。
加えて!!
このケースは歯根膿疱(のうほう)と言って、根っこの先に膿の袋ができており、当然この袋があった場所の骨も無くなり、結果としてかなりガバッと骨が無くなりました。
いらして頂いている患者様は、既にお分かりかと思われますが、他のケースでも今後考えられる事はその時点で必ずお話ししています。
先送りにする事で、手をつける範囲も拡大し、トータル的に見ると、費用も、失った物もまた大きくなってしまう事がほとんどです。
例外として…「これは使えるだけ使って」と先送りでいい場合は、これもまた必ずお話ししていますよね。
後は、患者様ご本人の決断によりますが…
人それぞれ、いろんな事情がありますから、死に直結する様なケースでなければ強行突破は致しません!
以前にも申し上げましたが、やはり歯科治療の基本は、『早期発見・早期治療』です。
※写真は、歯根破折の結果生じたと思われる歯根膿疱(抜歯後のため膿の袋はしぼんでいます)