咬耗症により、歯の咬み合わせの面が楔状に減り、
ご自身の咬む力で上の奥歯が真っ二つに割れ、
結果として抜歯を余儀なくされた患者様がいらっしゃいます。
歯を失われた患者様の代償は大きいです…。
咬耗症の方は咬む力が強く、長きに渡り、それに抵抗しようとする力が水面下(歯茎の中)で行われ、
歯の根っこを支える周りの顎の骨が肥厚する場合と、
歯の根っこ自体が肥厚する場合、
又は顎の骨と歯の根っこが同化し癒着してしまう場合
があります。
いずれも、本来歯根膜と呼ばれる歯の根っこ部分のクッション機能が失われるため、
表に露出している歯の頭の部分に応力が集中します。
咬む力に持ちこたえられないと歯の頭の部分は割れてしまうのです。
(歯科インプラントの上部構造にも、これと同じ様な力がかかります。)
今回のケースは、歯の根っこ1本ずつ、それぞれにバラのトゲ状の突起(後に根が肥厚する前兆)があり、
抜くのに大変苦労しました。
術者サイドの代償としては腰痛といった所でしょうか…。患者様の代償に比べれば小さいです。
かみ合わせ、酸蝕症、象牙質の露出、歯ぎしり、歯ブラシのタイミング…
これらは密接な関係にあります。
予防策としては、定期的に検診を受け、その様な箇所を見つけてもらい
そして、その後ご自身で意識して頂く事(癖をなおしたり、予防的処置をしてもらったり…)。
それしかないです。
明日は休診させて頂きます。腰痛が理由ではないです、念のため…。
(血液が苦手な方もいらっしゃるため、抜歯後に根っこを漂白してあります。)