先日、ニューヨーク州立大学の口腔診断学の研究グループの論文がアメリカ医師会雑誌「JAMA」に掲載されました。
内容は、
「虫歯があると頭頸部癌のリスクが低下する」と。
虫歯の本数が多い人は虫歯の本数が少ない人と比べて口腔や咽頭の扁平上皮癌と診断されるリスクが68パーセント低いという検証結果が出たといいます。
(この研究グループは、以前に「歯周炎により癌のリスクは高まる」という研究結果も発表しています。)
発癌抑制にはミュータンス菌など虫歯菌の免疫機能が関係していると考えられ、
虫歯予防の為にミュータンス菌を除菌してばかりいると、かえって免疫系のバランスを崩し癌のリスクを増加させる可能性があると考察しています。
では、虫歯があった方が良いのか?というと…
そうではなく、虫歯に対しては良くブラッシングし、歯周病に対しては先日取りあげましたイソプロピルメチルフェノールなどを併用し「予防」に努めてください。また歯石の除去など定期検診は言うまでもありません。
余談ですが…
これから風邪の季節です。イソジンによるうがいは、風邪のウイルスと戦ってくれる口腔内の菌をも殺してしまい、風邪が悪化しますのでやめた方が良いです。これも口腔内常在菌のバランスによるものです。
「虫歯の少ない方ほど歯周病のリスクが高いです。」と待合室に掲示してありますが、
逆を言えば、
「虫歯が多い方ほど歯周病のリスクが低い」、
『歯周病のリスクが低いと、扁平上皮癌のリスクも低い』とも置き換えられ、
この事からも、歯周病と全身疾患との繋がりがお分かりかと思います。
ですから、これからは『歯周病予防』も是非、心掛けてください。