先に挙げた「保護作用」のお話をします。
歯の表面は、唾液中のタンパク質によって「ペリクル」、日本語では「獲得皮膜」と呼ばれるものでコーティングされています。
上下の歯が咬み合わさると唾液腺からの唾液と、歯と歯茎の境目からの唾液(ほとんどが血液成分です。)が分泌され、上下の歯の間に唾液の対流が生じ、歯の表面の汚れを洗い流してくれるのと同時に皮膜を造ります。
上下の歯が咬み合ってない部位の歯の表面にお茶などの色素が沈着しやすいのも唾液の対流が途切れ、歯の表面が乾燥する事による結果です。(それだけではありませんが。)
最近では、「ペリクル」よりも「バイオフィルム」という言葉の方が多く使われます。
【ペリクルの二面性】
ペリクルは、歯を酸から守ってくれる反面、この膜に付着因子を持つ細菌等の付着によりコロニー(細菌の集落)が形成され、「歯垢(プラーク)」を形成します。
★ここまでは、ブラッシングで対応可能です。
ブラッシングで取り残された歯垢中の細菌は、やがて成熟していき、これらの細菌群の中のMutans streptococci等が「グリコカリックス」と呼ばれる粘着性の多糖体を合成し、様々な細菌同志がくっつき易くなり、膜状の細菌層、つまり「バイオフィルム」が形成されます。
「歯石」もこの中に含まれます。
★この段階になると、ブラッシングでの対応は不可能です。
機械的な清掃やPMTCが必要となってきます。