本日午前中は、2週間前に転んで前歯をぶつけて歯がグラグラという方がおみえになりました。
顔の怪我が治ってきたので来院されたそうで、病院には行っていないとの事。
拝見すると、左上2番目の前歯がグラグラです。
いわゆる脱臼の状態です。このようなケースは、早ければ早い程治りが良いです。
今回は2週間も経過しているので、ちょっと微妙ですが、やれる所までやってみます。
身体の骨折と同じく、固定をしてその歯を安静にしなければなりません。
その間に歯の根の部分の歯根膜が再生され揺れが止まってきます。
揺れがなくなり、歯がしっかりとしてくれば歯を抜く事なく、固定を外して咬み合わせの調整で済む場合も少なくありません。
しかしながら、レントゲンでも分からない様な根っこの部分の亀裂が入っている場合、最終的には抜歯になります。
ポイントは、以前からお話してます「歯根膜」。
自然治癒力ともいうべき、歯根膜の再生能力にかかっています。
再生治療の1つでもある「歯牙移植」時においても、意図的に移植する歯を脱臼させ固定せず、日をおいて歯根膜の量を増やしてから他の場所に移す場合もあります。
余談ですが…
Q.事故や転んで歯が抜け落ちてしまった場合、病院に行くまでの処置としてその歯をどの様にしますか?
これから夏休みです。この様な事が自分の身に降りかかってくるかも知れません。
この様な場合、
抜け落ちてしまった歯を軽く水洗いし、
大人であれば、自分の口の中に入れてその歯を乾燥させない様にして病院へ行って下さい。
子供であれば、大人と同じ事をするとその歯を飲み込んでしまう危険がありますので、手元に生理食塩水があればベストですが、誰もが所持している訳ありません。
こんな時、コンビニでも良いです。牛乳のパックを買って、その中に歯を入れて急いで病院へ行って下さい。
注)歯の根っこに付着している白っぽいグニャグニャしているものが「歯根膜」(コレが大事です!!)ですから、
水洗いをする時はゴシゴシ擦らずに歯に付着した泥等を軽く洗い流す程度にして下さい。
歯根膜は20分以上乾燥させると細胞が死滅しますので、絶えず濡れている事がポイントです。
その中で元々自分の口の中に存在していた歯ですから、抜け落ちた歯を口の中に入れて「唾液」に浸し乾燥から防ぐに勝るものはありません。
牛乳は、子供や、その方の意識が無かったり、口が開かない状態下に利用して下さい。(要は、抜け落ちた歯を無菌状態で湿らせておく為です。)
別においしくなくても良いです…