口の中に物を入れた時、
それが「硬い」か「軟らかい」かの判断をするのに、
無意識のうちに歯で咬んでみて分別していると思います。
この感覚の受容器こそが、歯の根っこと顎の骨の間にある『歯根膜』という一種の線維なのです。
物を咬むと、これがクッションの役割をしてくれると共に、脳の方にその刺激を伝えてくれて様々な判断をしてくれます。
硬い物を咬んで「これを咬んだら歯が欠けそう…」なんて思うのも歯根膜があるからこそです。
最近『ナイトガード』という歯軋り防止装置を多く作製します。
寝ている間は脳が休んでいるので、咬む力の調整が効きません。
歯軋りと言っても、ギリギリと横に動かす運動ではなく、長時間グッとくいしばっている事が一番良くありません。
顎関節の保護もひとつにはありますが、歯根膜、すなわち歯を支えている歯周組織を守るためです。
咬むと歯は目に見えないレベルで上下します。
この上下するスペースこそが歯根膜の厚さ・幅なのです。
「金属等を入れて一週間経ったけど、まだ高さが高く感じる…もうちょっと様子を見てみよう。」
これが×です。
咬む力で歯周組織が壊され始めています。
咬み合わせを調べる色の付く紙は歯根膜の厚さになっています。
簡単な事です。
当たりが強ければ歯根膜のクッション機能の許容をオーバーしていると判断できます。
「高い!咬むと痛い!」
起きている時はそう感じ、あえて咬もうとしませんが、寝ている時のくいしばりはそんな事関係なく、しかも長時間に渡って咬み続けているのです。
この流れから、
ひとつの口の中で、
天然歯(ご自身の歯)とクッション機能のないインプラントとの共存は、
よっぽど咬み合わせをきちんと見てくれる所でないと危険に思います。